「美しい」を定義する前に世界が美しいものであふれて困る

わあ好き!と思った事を書き殴るための場所です。書いた私も「正しさ」は信じていません。

銀色 暗号の解読

銀色 暗号の解読!!ずっとやりたかった!!!!

個人的には2年前くらいから解釈が固まっていたのですがどうにも言語化が難しく、記事にできていませんでした。でも、2022元日のキンキキッズコンサートで剛君が話していた銀色 暗号の解釈が私が感じていたものにすごく近くて、また書きたい欲が再燃してきたので書いてみます。うまく書けるかな…

 

(もちろん銀色 暗号の解読が無粋なのは重々承知の上で、あくまで私にはこういうふうに捉えられるな〜という妄想の話です。これが正しい解釈だというつもりは毛頭ありません。真相は2人しか知りません。1オタクの解釈としてお楽しみください。)

 

そもそも銀色 暗号とは、堂本剛作詩、堂本光一作曲の合作曲です。2007年にリリースされたΦアルバムに収録されています。同じく堂本剛作詩、堂本光一作曲の合作曲である「愛のかたまり」を超えようと光一さんが作曲し、それに“プロポーズを受けた物語”の歌詞を剛さんがつけたとされています。(2022コンでもプロポーズの歌だと言っていました)

この記事にたどり着いた人で知らない人がいたらまずは聞き、詩を読んでみてほしいです。

 

やや難解な詩なので解読には鍵がいります。私が個人的に鍵かなあと思っているのは「主題」「暗号」「プロポーズ」です。

 


まず「主題」について。この曲だけを見て主題を考えるのも難しいので、この歌の主題を考えるにあたって、比較する曲を考えます。

私の感じ方では、銀色 暗号は、堂本剛作詩、堂本光一作曲の合作曲であり一人称が「あたし」である「恋涙」「愛のかたまり」に続く物語なのかなと思います。この三作品は歌詞の雰囲気も似ていて、登場人物(「あたし」と「あなた」)は同じではないかと考えています。

そこで、この3作品を比較すると、タイトルから考えると(安直すぎるかもしれないけど)恋涙は恋の歌、愛のかたまりは愛の歌ととることができます。では銀色 暗号は?と考えると「恋でも愛でもない特別な感情」「恋と愛の間の感情」になるのではないかと思います。(余談ですが、恋でも愛でもないものの歌をΦに収めてるの天才的ですよね…)銀色 暗号の最後でも「愛へと成る」と歌っていますし。つまりこの歌は「愛でも恋でもない感情が愛になる」歌ではないかと思うのです。これが、この歌の主題だと考えられます。


「暗号」という言葉の意味について。暗号という言葉は普段謎解きなどでも使用され、「一見わからない文字列を規則に従って意味が通る文に直すもの」というイメージがありますが、この歌では「暗号」は解くことが目的ではないと思います。そこで、暗号を別の見方をすると「解き方を知っている人にはわかるけど、解き方を知らない人にとっては意味不明なもの」ということができます。銀色 暗号における「暗号」はこちらの意味ではないかなと。関係者だけが知っていること、明文化されていない秘密といったような意味で「暗号」という言葉を使っているのではないかと思います。


「プロポーズ」に関しては剛さんが言っていたのでわたしから語ることは何もありませんが、主題や暗号の意味と違って、「この歌詞からプロポーズだっていうのは言われねえとわからねえよおおおおおお言っといてくれてありがとううううう」という気持ちになります。いったんプロポーズの歌だとわかれば解釈しやすいのですが、詩だけからそこまで行くのは私のレベルではできなかったので剛くんその情報世に出しといてくれてありがとうすぎるし今後ファンになってくださる方のために何度でも言って欲しいです。

 

前置きが長くなりましたが、銀色 暗号「プロポーズの時に起きた」「愛でも恋でもない感情が愛になる」物語を「暗号のカギを知っている人にしかわからない書き方で」描いた歌ではないかと思うのです。そう思って、歌詞を見ていきましょう。

 

 

 

寒風に

あなた放った 言の葉

一瞬ね

四季たちが 揺れて死んだ


ここで「あなた」が放った「言の葉」が「結婚しよう」というプロポーズの言葉だと思います。

寒い風の日、「あなた」が突然「あたし」に「結婚しよう」と言い、「あたし」は動揺のあまり、四季が無くなったかのような感覚になります。

「寒風に」とあることからおそらく冬であると思われますが、冬の寒さを忘れるほどの衝撃だったのでしょう。

 


恐がって

聴けずにいた 未来曲

耳にあて

幼き日々 閉じ込めた


「あたし」は「あなた」のことが好きだったけれど、将来や未来といったことは想像していなかったのだと思います。ただ今一緒に居られればよかった。愛のかたまりで「あまりに愛が大きすぎると失うことを思ってしまう」と綴った「あたし」にとって未来は恐れるものであり、見たくないものでした。

でも、「あなた」からついに求婚されてしまい、未来を考えなければいけなくなりました。だって結婚とは一生の約束なのだから。

「別れてしまうかも」「失うかも」「離れてしまうかも」そんな不安を持ったままでは、この先の人生をかけた約束に「はい」と言うことなどできない。そう感じた「あたし」は、未来に向き合う覚悟をし、避けてきた未来曲を耳に当てます。そして、将来のことから逃げ惑ってきた幼い日々をそこに閉じ込めたのです。

 


Make をした

アスファルトを 足で撫でた

答え探すふり

Fakery なあたし

唇 噛む


雪で化粧をしたような地面のアスファルトを足で撫で、「答え探すふり」をする「あたし」。

時系列からして求婚の直後だと想像できるので、先ほどの未来曲のフレーズは脳内を一瞬で駆け巡ったことなのだと思います。

答えを探す”ふりをする”ということは、答えは決まっているということです。答えはもちろん「イエス」。でも即座に答えられない。なぜか。それは「結婚したら余計に失うことが怖くなるから」。

これ以上「あたし」にとって「あなた」が大きな存在になるのが怖くて、「あなた」を思って身を引きたいようなことがあっても安易に離れられないその関係が怖かった。

「あたし」にとって結婚とは、「あなたはあたしから離れない」「あたしはあなたから離れない」という二つを信じられなければできないことなのです。

「結婚しよう」と言った「あなた」に対して動揺し、脳内でさまざまな想いが駆け巡り、「んーそうね…」なんて言いながらアスファルトを撫で唇を噛む「あたし」が描かれています。

 


鮮やかな夜が

零している 銀色 暗号

問いたださないで

壊れるから


ここは恐らく、「返事待ってもらっていい?」などと返して返事保留の状態で「あたし」が1人で深夜に物思いに耽る部分ではないかと思います。

夜に降り積もる雪のように、神聖で厳かな時間。今の自分の気持ちがどういう気持ちなのか聞かないで欲しい。「あたし」ですらわからない、言葉にしようとしたら壊れてしまうほど脆いものだから。脆いけど、壊れてしまっていいようなどうでもいいものではなく、あたしとあなたが一緒にいるためにとっても大事な感情だから。


直接的な言葉で言えば、恋愛はいつか必ず終わるものだった「あたし」にとって「この愛は終わらない」と信じられるのだろうか、ということを考えていたのだと思います。「あたし」は「あなた」を信頼できるのか。「あたし」は「あたし」を信頼できるのか。

いつか必ず終わるものだった恋愛を、一生一緒にいる「愛」にできるのか。

だけど、これを言葉にしてしまうと「相手を信じてなかったの?」などと聞かれかねません。「そんなことない!」などと言っているうちに今ある感情を見失うことが「あたし」にはわかっていたから「問いたださないで」と言っているのだと思います。

今までは、2人でのこれからを信じてしまったら失う時に辛いから、最初から「これからも一緒に居てくれるわけではない」「今隣にいるのだからそれだけでいい」と言い聞かせて、未来を見ないふりしてきたのが「あたし」の人生だったのです。

 


交差点ホール

幾千もの傷が Dance する

いまこの時

愛へ恋 焦がす


いろいろな人が行き交い、幾千もの傷がついた交差点ホール。世界には様々な人がいていろいろな道へと進んでいく。

「あたし」は「愛へ恋焦がす」。この表現が秀逸すぎる…。本当に文字通り、「あたし」は「愛」に恋している状態なのです。愛が欲しい。愛したい。愛という領域へ足を踏み入れたい。

すごく好きで仕方ない人を今後も一緒に居てくれるって信じたい。あなたの言葉の裏もこれからも全てを信じて預けあいたい。

そして、「結婚しよう」と言った「あなた」はこの「愛する」ことに対する覚悟を既に決めているのです。あとは「あたし」だけ。

そんな、静かな冬の夜の話です。

 


「綺麗だね...。」

初めて云われた 時間

心臓が

高鳴ることを覚えた


「あたし」は物思いに耽るうちに「あなた」に初めてときめいた時のことを思い出します。(余談ですがもし恋涙と同じ人の歌であれば、「あなた」は、「そんな眼は捨てておいで」と「綺麗だね…。」を言ったことになります。かっけえ…)

 


愛が 時代に塞がれて

声 失くしても

孤独の次に 咲き誇る

笑顔 捧(あ)げる


「あたし」は慎重ゆえに「2人の愛が時代に受け入れられなかったら」ということを考えます。結婚という事実が二人の間に亀裂を入れてしまったら、と結婚を躊躇っていましたが、たとえ時代に受け入れられなくても、孤独に耐えながら笑顔を捧げることを決めます。

これは「時代に耐えながら愛し合う」という意味とも、「離れたとしてもあなたを思い続ける」という意味にも取れます。少なくとも、たとえ社会に反対されても「あたし」は「あなた」を思うことを諦めない、ということです。

この決意が出来たきっかけが、先ほどの「綺麗だね…。」と初めて言われたときのときめきなのです。なんていじらしい。

 


鮮やかな夜が

零している 銀色 暗号

隣で眠る あなた さらう


「あたし、あなたを一生愛せるかな」という柔らかくて軋むような感情を、雪と重ねて「銀色暗号」と呼んでいるのではないでしょうか。

「あなた」と「あたし」にしかわからない気持ち。

先に覚悟を決めた「あなた」は、眠れないでいる「あたし」の横で、眠りについているのです。悩める「あたし」をよそに眠りについてしまう「あなた」、かわいいですよね…。

「このままあなたがどっかに行っちゃうんじゃないかな…」なんて思ってしまう中、夜が更けていきます。

 


夜が明ける頃

空へ還る 銀色 暗号


夜明けと共に、銀色 暗号が空へ帰っていきます。

雪は止み、「あたし」は未来に対する覚悟を決めます。

 


どうしてだろう

涙 止まらないよ...。


「あたし」が「あなた」を愛し生涯を共にする覚悟をしたことに自分で気づき、涙が止まらなくなります。

もう、覚悟する前の二人には戻れないのです。それが誇らしくもあり、寂しくもあり、もっといろんな感情があり。

 


鮮やかな夜が

零していた 銀色 暗号

一度きりの

あの日とふたり


ここで「零していた」と過去形で綴られ、銀色 暗号は完全に過去のものになります。

プロポーズされた日の、二人の繊細な揺れ動きはきっと人生で一度きりでしょう。

 


そのふたりだけが

唱えられる 銀色 暗号

誰も知れない

愛は永久に響く

 

こんな繊細で美しい銀色 暗号は、2人だけの物語なのです。他の誰も知らない夜を経て、一つの愛が生まれ、永久になるのです。

 


堕ちて 堕ちてく...

あなたのすべてに...

愛へと昇る...

愛へと 成る。

 

「あなた」の全てを愛し全てを信じ、「あなた」への思いは純度の高い「愛」へと成る。

そんな美しい物語を雪に重ねて描いているのがこの歌なのです。

 

 


やっと書けた…。ちょいちょい私自身の感想がはいってしまいましたが、これが私なりの銀色 暗号の解釈です。本当にいじらしい歌だなあと思います。

しかもこの解釈をね…光一さんに教えないまま2人で歌うっていうのがね…エモすぎますよね…(急な語彙力の低下)

だって剛さんはこの世界観完璧にわかってて、光一さんは過去に「暗号って何!?」って言ってたくらいなのでたぶん「オシャレな詩やなあ」くらいに思ってたりするんじゃないですか?いやエモ…エモ……

 

この繊細で美しい旋律を作り上げた光一さんと、その音楽を冬の夜に愛が生まれる物語へと昇華した剛さんに大いなる感謝を。

 

ちなみに今日は2人が出会って31年だそうです。すごいなあ。出会ってからそんな長い間ずっと隣にいられるってすごく幸せなことですよね。

 

7月に出る共作の新しい合作(おそらく2曲)も心から楽しみにしています。

 

KinKi Kidsと2人の音楽に幸あれ。